Tom ΣⅡ 序章

残ったのは私達だけだ。

ロナウドの犠牲は大きかったが、彼は我々の望み通りの場所で命を絶たれた。

「道」は切り拓けたのだ。

「天寿の儀」の魔力は、火柱のようにこの国を駆け抜けるだろう。

彼女は、分かっていてそうしたのだろうか。それを思い図るには、私達の力はあまりにも脆弱だ。

私達は、唯、遂行するしかない。

この国を覆っている残虐を、覆すのだ。

魔力を持った者が、圧政に対して牙をむいたとき、どのようなことが起こるのか。

それを知らしめるためだけに、私達の命はある。

全てを滅ぼす理由には、私達の意思はなんとも陳腐なものだろう。

「狩り」で奪われたものは、何をしようと二度と帰ってこない。

だが、報復もせずに黙して逃げ回るだけが、私達の能ではない。

デュルエーナと言うこの国に、一矢報いるため、私達は奪い返すのだ。

その命を。