012 「波音」

金色に満ちる朝の光と銀色に沈む夜の影が

綿雲を染めて空は焼けついて行く

祈っているのは乾いた風が吹く事だけを

無慈悲な僕は手を差し出さない

哀れむことが哀れなのは 幼い頃から知っていた法則で

聞こえる 聞かない 見えてる 見えない

それでもあなたは生きてるから

水の揺らぎが聴こえるだろうか

月に連れられ溢れては涸れる海のように

さざめいている さざめいている


貝殻を耳にあて 聞こえるのは血潮の音と 気づいたのはいつだろう


巡り続ける脈が 波音と同じと 気づいたのはいつだろう


海から生まれて海に還った 翼もつ者達は 生まれ出でた時から知っているのだろう


己と星とが一つであると