138 「野草庭園」

菜の花に会釈して紳士は帽子をかぶせました



菜の花に握手して紳士は手袋をしまいました



菜の花に木枯して紳士は胸を裂きました



返り血を浴びて菜の花は薔薇になりました



生まれ変わったとしても紳士は触れられもしないのです

群雲のように咲いた花の中の一輪には