141 「コロニー」

金魚が泳ぐ水滴の中で

酸素が鈍く濁ってゆくから

水草を混ぜてあげたら

水滴散り散りで


昼顔が蔓を巻き付けた機械の中で

1300年前のレコードが鳴っていた

止まってしまったコロニーに息を

光絶えない限り光合成は止まない


青い 雪が 輝く 水滴には戻れない温度

透き通った水槽の氷 仮死状態の金魚

春が来たら蘇るのだろうか

砂の渦に呑み込まれた咎人は

使者の訪れを待っていたけど

叶わない 願えない 浅ましい

それだけの夢

それだけの夢