147 「鉄の琴」

自己に対しての

殺傷の理由を

80枚の手紙に

記してから旅立つ


有機的に生きることも

馬鹿らしくなる無味

眠ってしまった人魚は

ナイフを振りかざして


何かに退化することも

進化と呼ばれるのなら

完成品はきっと

いつまでも未完成な

真紅の血液を透かす

ほむらとなるでしょう


愉快犯を抹消したくなる

雪化粧の氷の城は

春の来る前に北へ去る

白き使者と共に


泣き声は聞こえない

鳴き声は聴こえない


眠り込む意識

氷づけの光

閉じ込めた死海

鉄の琴の音色