176 「出口」

イドの怪物は潜在意識に住んでいる

目玉の中に見えていた不気味はそいつか

ロボトミーを施されて 自我を失うまでの

ほんのわずかの静寂が 恐怖だったとして

記録される映像 次第に壊れていく 被験者


右脳を銃弾で撃ち抜かれた その人はもう

世界を驚かせることはできないんだね

言語野が生きていて 感覚野は死んでいて

芸術家じゃないだけ ましだったのだろう


何も思い浮かばない 殻の中のヒヨコは

目を覚ましたことを告げているのに

抱きつぶしてしまうグレートマザー

身動き一つとれない 小人達


知らない? この左目に宿った

狂気を浮かべた 臆する怪物が

泣き出しそうに 探している

出口