179 「お嬢さん」

口に牙 手足に爪 鍵尻尾

アリの足音を聞いていた

何かいるのと言われても

アリがいるのと答えても

あたしの言葉分かってる?


窓の外に雀の群れ

思わず叫んじゃったけど

硝子の向こうのあたしには

手出しはできないって分かってるのね


ピーチク可哀想なお嬢さん

あなたは外の世界を知らないね

静かに忍び寄って突然襲い掛かるものなのさ

なんのことなのか 頭が痛くなっちゃうわ


段ボールに入れられた日をハッキリ覚えてる

ごめんねなんて言われても許せっこないわよ

あたしは今日から名無しの宿なしで

公園で配られるフレークに群がる

唯の猫でしかないんだから