181 「水音」

電子レンジの中ではじけ飛んだ

カトレアの一輪が水を蒸発させながら

ゆっくりと死んで逝く 形だけ残して

ある種のミイラさ 細胞壁で出来た


素晴らしく美しい絵画は写真を観ながら描かれてるけど

透ける血管の一本まで描き出そうって言うのは大した苦労だ

死んでいるような生きているような

壊れて行くような構築されるような


何かがある その行く末に

何かがあると言うのならば

壊して作ったその世界には

花が降り積もるだろうか


僕はいつまでも 同じオルゴールの音を

奏でるんだ 心の中 データの中 集積回路に電気を通して


はじいた弦が歪んだ音を鳴らす

時は誰が紡いでる?

世界を動かす力は 音色を奏でる余韻で

完結する物語をつづってる


雨が降り出すときだけだ