183 「新月」

それは新月の夜でした

ひどく静かな夜でした

人の街だけ明るく灯る

あれは確か街灯と言うものです

集まると夜景と言うものを作ります


空は随分晴れていました

誰も月を探さないのは

時代が移ったためなのか

星の中に物語を描いた

心を忘れてしまったからなのか


窓の外を眺める子供達は

外の夜景を目に映しながら

さようならと言いました

レールはガタゴト揺れながら

銀河の中へ導きます


子供達は笑っていました

空を泳ぐ星々へ


それは新月の夜でした