187 「熾天使」

冷たい光はいつも月夜

僕達の知っている銀河はだいぶ田舎らしい

時間の流れが星の流れと同じ

伸縮を繰り返しながら

目を閉じて見える残光


手の中で燃えて尽きた

深紅の炎が

内包された知恵と災厄

燃え上がる翼を切り落として

人に与えたルシファー


それを悪意と言うなら

生きて残れなかっただろう

爪も牙も持たない人狼は

狩り殺されるだけの標的


命の駆け引きと言うのなら

滅ぼし合うその恐怖は

正当化されるのだろうか

己の翼を与えた堕天使のように