191 「女神の欠片」

水滴は中空で凍り付き 宝石より緻密な結晶と成って

降り注いで 痛む風に舞う透明

凍り付いた割れて砕けた

裂傷に降り積もる 時を告げるような真白

眠る大地を包む 息吹を閉ざすように


例えば 僕が 恋の歌 作って

この銀世界に 花のほほえみを

告げても

底から腐らせるものは

要らないんだけどな


凍らせて 女神の示すままに

見える世界の焦点が変わる

白銀の優しさが崩壊してゆく

春を待っているのは

あの花の物語を見届けたいと

願っているだけの一瞬


散りぎわまで清らかに

涙ひとつこぼさない

薄紅の雲が 散ってく

まるで 空から 舞い降りた

あの結晶のようだ