020 「歌」

透明な時間が流れて行きます

水に溶かした絵の具で染め上げて行きます

月に還った君 銀色の輝きを零します

どれだけ祈ったって 所詮はきれいごとなのです


血も肉も朽ちて逝きます

どうにも腐敗からは逃れられない世界なのです

それなら全部が土に還るまで

心だけは失わぬよう 眼だけは曇らぬよう

強くあるよう生きて行くのです


灰になる時が来たら 海深くに捨てて下さい

墓標は要りません お祈りも要りません

あの歌だけ 忘れないよう

僕は海風と共に歌っています


今までも これからも