030 「残酷と豊穣を」

清らかな流れは

水も時も今一瞬も

全てを押し流してゆくけど


いつも何処かで目を覚まし

いつも何処かで眠りに就く


神話なんかじゃ語れない

ずっとずっと長い時間を費やして

ひとつひとつ生き延びてきた証


この船が与えてくれた

残酷と豊穣を試練と慈悲を

当たり前のように受け取って


暗い海の中

命を運ぶ大切な船を

壊そうとしているのが自らだって

認めもしないの

いつの時代の話をしているの


たりないのは清浄な雨と

たりないのは清浄な土と

たりないのは正常な酸素


燃やされる木々は灰になってしまうのに

全部が焼け爛れる日が来るまで

気づかなかったじゃすまされないの


人の成したことなれば

人の手で戻せると

どこかの大統領が唱えてたのは

ずいぶん以前のことなのに


何千種と言う命を焼き払い

何億種と言う命を切り刻んだ

大罪人は当たり前のように

悲鳴を上げない者達を

今日も殺めてゆくのです