鉄道が走り出した
魚達の泳ぐ空を眺めに
ほんの少しの旅に出よう
水中を走る列車の窓には
珊瑚の庭が続いている
ふわり羽のような吐息が舞った
バブルリングで遊ぶシロイルカみたいに
器用に息は吐けないけど
窒息する事も無い
そして不思議と苦しみのない
水底をふらふら歩く
着飾った熱帯魚が
群れを成して隠れている
コーラルの赤は優しい夕暮れの色
太陽はずいぶん高い水面で輝く
サラサラ揺れる光と波は
砂を踏む僕の足跡を消し去る
何処から歩いて来たかなんて
そんなに大したことじゃなくて
これから歩いて行くその先にも
こんな穏やかな光と波が
照らし続ける事を
ほんの少し願ってみる
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