042 「記憶」

緋色の夕空の ぜんまい仕掛けの人形

見えてない網膜 聴こえてない鼓膜

キリリカリリ 記録される幻と現は

逆転して 僕の周り霧のように包む


夢を観ているなんて つまらない言葉で

区別しているつもりでも 何も知らないでしょ

ここまで歩いて来るのに どれだけの時間を費やしたか

一瞬の隙間も与えられてはいない


滑稽に見えただろう入念に計画して少しだけの想いを残す

金属的な心に触れたものは 丁寧に切り取られて貼り付けられる


思想家になるほど考え過ぎても

鬱陶しいくらいに空白なのは

夢も現も見つめすぎたからかな

聞こえてくる宇宙の音色が

僕のキャンバスになれば

与えられた知能は使い過ぎても無駄じゃないでしょ