047 「羽」

さらりさらりと 空気に舞う

純白の結晶は 凍てつく香り

はらりはらりと 大地に舞う

花か羽か星か欠片

砕ける雲に サファイアの傷

見上げているだけ 見上げているだけ

この煩わしい熱が 全部無くなる時に

僕は自由になれるの 厭わしい全てのものから

世迷言と笑うものの 厭わしい全ての咎から

凍える季節が 浄めてくれる

人の夢と書いた 儚さなんて

凍った海に 沈めてしまえ

嘆くだけ無駄なんでしょ

呟く旋律を覚えている

記憶は遠く近く鮮明で鮮明で

ぽつりぽつりと 囁く声

薄紅色の花の降る頃

ぽつりぽつりと 滴る雨

煙るような淡い香りを

洗い流して洗い流して

深海にまで冬の終わりを告げる

マリンスノーは降りしきるばかり

届くまで届くまで 宙はずいぶん遠い

届くまで届くまで 手をのばしていた

届くかな届くかな 空は随分冴えて

届くまで届くまで 手をのばしていた