077 「No it」

ジグザグに小道を歩いてみる

特に意味は持たせない

唯の気分で行く手は変わる

風の向くままって言うから


切り刻んだ髪がずいぶん居心地の良い中途半端

口笛の吹き方を忘れて久しいんだ

逆上がりができなくなって何年かな

必要と不要と時間が変えて行く

アイデンティティって言葉が流行り出すのは

もう少し後だったね


港に集まる野良猫達の昼下がり

ざらざらの毛並みと寡黙な目で語る

歩いてきた道のりはずいぶん勇猛で

日暮れまで眺めてる


子供の頃の夢は猫になる事

なんの都合もぶつけられずに自由になる事

檻を用意する連中の腕を

振り払って掻い潜って


音だけだった「言葉」を覚えて

残すための「文字」を覚えて

考え続けて記し続けて創り出して作り変えて

歌う言葉を探し出したの


あの人の歌う「愛」って言うのは

ずいぶん特別な物みたいだ


I have no it

だけど苦しくは無いんだよ

以上も以下も存在しなくて

唯聴こえれば良い 寡黙な歌声が


囀るように 囀るように