084 「Scar」

終りの話の続きをしよう


銀色の月の浮かぶ水面を見上げた少女

ゆらりゆらめく波の中

水を蹴った両足

鎖を裂いた両腕

女神とかわした約束


変わらない世界

変わらない舞台

変わらない悪意

変わらない犠牲


発達するごとに

贄を求めるのは


知識から権威へ

現実と物語

訳の分からなくなった狂気

唯楽しいんでしょ

搾取する 涙する 悲鳴を上げる事が


ミサの開かれる教会の中で

傷だらけの屍と真っ赤な血飛沫の残る惨状

扉にすがりつく者達を切り刻み

少女は言った

楽しかったでしょう

心ゆくまで泣き叫べて

楽しみたいんでしょう

狂気の涙に溺れることを