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時々徒然

猫にゃーんの話

時間は23時29分です。こんな時間にサイコサスペンスの解説考えてる奴ってなんなんだろうと思う。とても怖い事を考えた後なので、なんか心がほっとする事を考えてから眠ろうと思います。

下弦の月の時に、地面から発生するお化け、猫にゃーんの物語です。猫にゃーんは、猫族のお化けです。地面から出てきたくらいの大きさだと、実体があります。ですが、街を襲う時には半気体化し、霊体のようになってみんなの夢の中に入り込みます。

猫にゃーんに頭を支配された睡眠中の猫は、うなされます。猫として一番不愉快で怖い夢を見ます。体中が痒いのに手入れが出来なくて、お腹が空いてるのにごはんが無くて、何処を探しても友達が居なくて、世界がとても冷えていて、雷がピカッと光ってはズガーンズガーンと鳴っていて、酷い地震で地面が割れそうなほど揺れて、雨がざんざん降って地面が水浸しになって、人間達はパニックになって猫を置いて去ってしまいます。

この事を考えたのは、月のお城に閉じ込められている「プリズナー」です。猫にゃーんは、プリズナーの考えた空想であり、同時に本当に外の世界にいるお化けなんです。

プリズナーは、自分がお城に閉じ込められている理由を考えました。そこで思いついたのが猫にゃーんです。猫にゃーんが、お城から離れた街で暴れているので、自分はお城から出ないように閉じ込められているんだと、「合理的」に考えました。

ですが、プリズナーがお城に閉じ込められたのは、「金の林檎に手を伸ばした罰」だからです。でも、プリズナーには、その金の林檎にどんな意味があるかは分かりません。

世に不和を起こさせるため、女神エリスが「世界で一番美しい女神」に贈った林檎だとは知らないからです。

ギリシャ神話の時代、「一番美しい女神」に名乗りを上げた三人の女神のうち、とある国の王子が「アフロディーティが一番美しい」とを選びました。何故なら、アフロディーティから、自分を選んだら世界で最高の女を妻に与えようと言われたからです。

アフロディーティは、他国から「世界で最高の女」をさらって、無理矢理その王子と結婚させたので、後にトロイア戦争と言う大騒動が起きました。

女神エリスの思惑は叶ったのです。

ここでお話に戻ります。大騒動のせいで、すっかり忘れ去られていた金の林檎に、プリズナーは女神でもないのに手を伸ばしてしまいました。ゴッドチャイルドであったから、触れることは叶ったのかも知れません。ですが、「世界で一番美しい女神」しか触れるべきではない金の林檎に触れたことは、大罪でした。

金の林檎はプリズナーの手から落ちて、永久に闇を落下していきます。ゴッドチャイルドは知性を奪われ、子供の姿と心になって、プリズナー(囚人)となりました。

プリズナーは、自分が金の林檎に興味を持ったことも、それに触れた事も、金の林檎は永久の闇の中に落下して行ったことも、すっかり忘れてしまいました。

城の中に繋がれたまま、城の外にあるはずのたくさんの事を考えました。そして、猫達や自分の夢の中を脅かす、「猫にゃーん」と言うお化けを思いつきました。

悪い夢を見た時、きっと猫にゃーんが外で暴れているんだと思いました。プリズナーは、その事を、時々自分の様子を見に来る黒猫に話しました。

黒猫はとても優しかったので、プリズナーの言う事をよく聞いて、一つも否定しませんでした。プリズナーと黒猫は友達になりました。

ですが、プリズナーと友達になったことで、黒猫は自分と言うものが何なのか分からなくなってしまいました。

頭は疑問符だらけで、体が透明になって行きました。黒猫も、罰を受けることになったのです。体が透明になった黒猫は、それでもプリズナーの所に通いました。

プリズナーは、黒猫の姿が見えません。でも、鳴き声は聞こえます。その鳴き声のする辺りに手をかざすと、温かい毛皮が触れました。

プリズナーは透明になった黒猫を抱きしめて、眠りに就きました。もう、猫にゃーんが街を襲ことは無くなりました。それからも、ずっとプリズナーは黒猫を抱っこしています。