LuNa RhyThm official web site

時々徒然

一回しかチャレンジしてはならない縛り

何処で読んだのかも思い出せんけど、「一回目の決断でそれを実行できない人は信用ならない」的な、おっとこまえ? な事を書いている言葉を読んだんですよ。

つまり、一回決断したら実行して成果を出せと。人間と言うものは、思い立ったら実行できるはずだと。確かに、思い立ったら即実行できる人もいますね。ですが、世には時と場所と場合と言うものがありまして。

あの悪名高い侵略者コロンブスさんが航海に出る前なんですけど、世の中にある大陸はユーラシアだけだと思われていた時代。ヨーロッパは多数の小国に分かれてたんですよ。で、コロンブスさんは最初「自分はこういう仮説を持っているのでインドまで最短距離で辿り着けます。船を出すお金と許可を下さい」って、王様に頼んだんだって。

答えは、「NO」でした。見事に出ばなをくじかれたそうです。一度、コロンブスはやさぐれたでしょう。その後、もう一度決心して、別の国の王様にも同じ依頼をしました。やっぱり「お前は頭がどうかしているのか」的な反応で「NO」だったらしいです。やっぱりコロンブスさんは、やさぐれますね。

そんな感じで、何度も決心して、何度も依頼をして、何度も断られて、ようやく人の良い王様をつかまえて、船を出すお金と許可をもらいました。

コロンブスさんは、一度目の決心で祈願を成就したわけじゃないんですよ。何度も断られて、頭おかしい奴扱いされて、色んな国を旅して、しつこくしつこく頼み続けたら、ようやく船を出すことが出来たと。

本当はコロンブスさんはインドに行きたかったんですけど、米大陸に到着して、その土着民族に流行病を移して、「だって、免疫とかなんて知らないんだもん」って言いながら、見事に土着民族の国を壊滅させて、病原菌の感染による侵略って言うのを実現した人なんですよ。

その辺りの、コロンブスさんの悪事は今は関係ないので置いておくとして、「一回目の決断」で、全部が上手く行く人なんて、そんなにおらんよって思うんですよね。

コロンブスさんも、「地球(大地)は丸いはずだから、ずっと西に航路をとればインドに最短で着く。俺はスポンサーに船を出してもらって、香辛料売買で大儲けするぞ!」って決心して、なんども「頭おかしいぞ、こいつ」って思われて、その度に決心しなおしてたんですから。

その当時の社会常識では、世界は平面で、「海の果てからは海水が滝のように流れ落ちている」って言われてて、ずっと西に進んだりしたら、死ぬと思われてたんです。

コロンブスさんは、その当時の社会常識に反し、何度も頭変な奴だと思われるって言う悪条件と、旅をして色んな国に行って王様に頼むって言う挑戦を、くじけながらも続けたから歴史に悪名を遺せたわけです。

先の、おっとこまえ? な文章に対して違和感を覚えるのは、「一回しか決断してはいけない」みたいな縛りですね。一度ダメだったら諦めろみたいな含みを感じるんですよ。あの言葉の発言者は恋愛脳なのかな?

その人が一回の決断でチャンスをものにした人しか信じられないなら信じなくてもいいと思うんですけど、「何度でも考え直す」「何度でも吟味する」「何度でもトライする」って言う事を続けた場合でも、目標と言うのは達成できると思うんです。継続は力って言うやつですね。

僕としては、ある目的に対して、色んな方向からトライするって言うのは悪くないと思います。

時勢にも場所にも場合にも恵まれなかった人は、年取ってから「叶えられなかった過去の夢」として青春を甘酸っぱく思い出せば、それなりに酒の肴にはなるだろうし。

だけど、自分がダメだったからお前も無理だとか、一回で成し得たんじゃないなら成果じゃないみたいな、他人のやる気をそぐ発言は、優しくないと思うんですよ。

信じなくて良いのは、「夢を叶えるためにお金ちょうだい」って言ってくる奴だけだ。