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時々徒然

ポエ路。

ぽえろ。ぽえみち。リリックを書く前に、小説まで考えられないと言う人は、まずとにかくポエろ。最初から、クールでスタイリッシュで云々…とか考えるな。

後から文章を読んでみて、「患ってたな…」と思うくらい、ポエムを書いてみて下さい。それが「一時の患い」で終わるか、「作詞家としての指針」になるかは、明日の君が決めてくれるだろう。

じゃぁ、一通りポエたと言う設定で話を進める。

これは俺の個人的な作家経験から考えている方法なので、「作詞家のレシピ」的な本とかとは全然違うことを書くことになるかも知れない。

あくまで、こんな方法でも「リリック」は作れるよ、と言う邪道な策である。それを念頭に置いて読んでくれ。

作品参考例に、俺も即興でポエてみよう。

「左手に拳握って。右手の平に叩きつける。何かに負けそうな時。何かに押しつぶされそうで。押しつぶされないように。僕はそうやって僕を騙してた」

「気づかないうちに? 気づいたふりをして? 僕は大人になった。心の中。15歳の僕を連れて。さぁ 旅に出よう。まだ幼い『僕等』が憧れた世界へ」

さぁ、ポエたぞ。5分もかからず。爽やか系、大人思春期旅ソングでも作れそうな文章だな。

このポエムを、リリックっぽくします。よく見かける方法として、Aメロ、Bメロ、サビとかに分けてみようか。

Aメロ「左手に拳握って。右手の平に叩きつける」…導入部分。物語の始まりです。何処かの少年が、気合入れてるっぽい感じ?

Bメロ「何かに負けそうな時。何かに押しつぶされそうで。押しつぶされないように」…Aメロとサビをつなぐ展開ですね。何故、冒頭の少年が気合い入れているかの説明。

サビ1「僕はそうやって僕を騙してた」…説明からの、結論1。

Aメロ「気づかないうちに? 気づいたふりをして?」…物語の次展開の説明部分ですね。

Bメロ「僕は大人になった。15歳の僕を連れて」…ちょっとしんみりしてほしい部分をBメロに持ってくると、サビではじけたい場合に有効です。

サビ2「さぁ 旅に出よう。まだ幼い『僕等』が憧れた世界へ」…ベタな展開ですが、結論2。

大体こんな風に分けてみると、なんか物足りない所がありますね。一番目立つのは、サビの描写が少ない。

一言でくくって印象を強くすると言う方法もありますが、間を考えたり、その言葉が的確な印象で聴者に伝わるか、等、描写が少ない場合は作曲者のほうの負担が大きくなります。

なので、「削除されても良いし、書くだけ書いとけ」と言うくらいの描写を点けてみましょう。

サビ1の展開版「僕はそうやって僕を騙してた。隠された子供みたいに。泣き出しそうだなんて。僕も知らなかった」…「僕」の孤独感が差し迫っているようです。

サビ2の展開版「さぁ 旅に出よう。君も一緒に。まだ幼い『僕等』が憧れた世界へ。さぁ 旅に出よう。僕達は一緒に。まだ心は強く命を灯してる」…繰り返しの効果で、文章にリズム感が出ます。

サビ2の展開に、「君」と言うサブキャラが登場しましたね。ここで、『僕等』と言うのが、「君」と「僕」なのか、「15歳の僕」と「大人になった僕」なのかが曖昧になります。

あえて曖昧にしておくことで、曲を聴いた人の想像の余地が出来ます。文章において、適度な想像の余地は「魅力」になります。

このように肉付けをして行って、ようやく文字数を整える作業をします。と言うか、初心者ポエマーの場合は、ポエるだけポエて、作曲者に文字数の変更だけ許可したほうが良いです。

「さぁ 旅に出よう」がベタすぎると思ったら、英詩にしてしまうこともできます。「Let's go together」とか。

以上が、詞先と言われる作詞方法の一例です。

メロディー優先の、曲先と呼ばれる作詩の仕方。これは、メロディーラインを何度も聞いて下さい。暗記するくらい聞いて下さい。暗記できなかったら、メロを全体的に聞きながら書いて下さい。

曲先の場合は、曲の特徴を生かす文章の操り方が必要です。基本は、メロディーを構成している音符の数と詞の文字数が合うか。

完成されている「間」なら、文章をバラバラに乗せて続けてしまっても不自然ではありません。上手く歌詞がはまれば、リズム感のある曲だな、と言う印象になります。あくまで、上手くはまればの話ですが。

曲先の作詞の仕方の参考…になるかどうかわからないけど、例としては、当HP【音響効果】に展示してある作曲物の詞を読んでみて下さい。あれらは、全部曲先です。

曲先でも、アイデアの種はあらかじめ用意しておいたほうが良いです。そのほうが言いたいことがブレない…と思うのですが。

俺も曲先作詞をしていて思うのが、「メロディーに引っ張られて言葉が出てくると言う現象」が起こるんです。それこそ呪文のようにメロディーを聴いていたら、文字は思い浮かびます。

ですが、時間の都合や集中力が続かない、等々、生みの苦しみを味わう事もあります。そう言う時に、アイデアの種にポエムでも書いておくと、そこから展開を発展させて、

メロディーの中に組み込む、と言う作業が出来ます。

詞先曲先どちらにも言えますが、「歌詞」と言う言葉を操る上で、常に頭を活性化させておく必要があります。そのために、日頃から頭を使う訓練をしておくと、柔軟な発想につながります。

さぁ、てぬるいままで居ますか? 突き詰めてみようと思いはしませんか? どうせ黒歴史残すなら、もっと入魂してみませんか? と囁いて去る。グッナイ。