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時々徒然

回る周期の話

別名「回転する自転車」。シリーズ前作の「Round cycle」ですが、あれはですね…。HPに小説を掲載していた時から、長年主人公を務めていたレミリアの死期を僕が感じ取っていた時の文章です。

ルチカと言う新しい主人公格の登場人物とかの成長やこれからのあの世界の展開を見ると、レミリアがあの世界に居たらあまりにも万能すぎると。

レミリア自身は予言の能力を持つ霊媒師で、レミリアの前の主人公だった「ナイト・ウィンダーグ」とも交流がありました。そこに、過去と言う時間軸に影響できる存在が味方に付いたらもう、彼等に対抗できる存在が居ないじゃんってなって、予言の能力を持つレミリアに対抗できる存在として、未来の時間に跳躍した「パトリシア」を登場させたわけです。

パトリシアは、現世に居た頃の姿を保っていましたが、意識は「エネルギー体」としての自分しか捉えられなくなっていて、自分が自分の存在を確立させるために行動しているって言う、人間で言えば深層心理が分からなくなっていたんですね。

同じく「未来」の時間軸に存在していたナイト・ウィンダーグですが、彼は自分の死後から何千何万何億と言う時間を経てから、パトリシアの起こそうとしている「事件」を知ります。

レミリアの死の原因になる、時間軸の「ハレーション」を遠ざけると言う事件です。

ナイトは、パトリシアがルチカの能力を利用して、自分達の位置している「未来」から過去の方角、つまり「現世」に影響しようとしていることを知ります。

ですが、ナイトは秘密裏に「現世」に居る自分の知り合いや息子に連絡を取り、時間軸としては既に「未来」に至るまで宇宙に存在している自分を、「現世」で蘇らせる術を使う事にしてあったんです。

そのためには膨大な贄と魔力が必要で、魔力を持った彗星「ミドガルズオルム」が太陽系を通過する前に、魔性を持った者達を何千人と殺めなければならないと。

そこで、ルーゼリア・ボリトスと言う傭兵に「目立った活動」をしてもらい、世間やパトリシアの注意をそちらに向け、影ではエミリー・ミューゼと言う魔女や精霊使いサージ・オニキスを使役して、自分を蘇生させるための術の準備をしていたと。そして術の決め手は、「呪力に影響されず、術を発動できる術師」の存在です。

それで、レミリアは多数の魂の大規模な炸裂である「ハレーション」を起こす術師として選ばれていたわけです。

もし、レミリアが事件を「時系列」で知っていたら、いくらかつての恩人ナイト・ウィンダーグが復活すると成っても、彼の術を阻んでいたでしょう。レミリアはそう言う人です。

「いつか戻ろうと思ってるんです」と言っていたナイト・ウィンダーグの計画がなんであるかを、パトリシアが理解してなかったのは、文章では説明されていませんが、ちゃんと提示してあります。

最終的にはレミリアは自決する事になり、パトリシアの存在も巻き込んで「そらよりもっととおいところ」に旅立って行きました。

最初に、未来に居るパトリシアから干渉を受けたルチカは、自分がいずれ「七つの可能性のひとつ」として、「そらよりもっととおいところ」に行くことになると知らされるのですが、ルチカは「Round cycle」のシリーズの時点では生き延びましたね。

ですが、太古の海の中で出逢った外世界の存在「オーガ」から影響を受けたり、過去から「現世」に影響してきている少女レミリア・トランジスタからメッセージを受け取ったりと、ルチカにも休む時間は無いようです。

そして「Round cycle」の後編の終わりに登場した「グリム・ノエル」ですが、彼は陰謀者達を家族として成長したため、それが良い事か悪い事かの基準が、自分の身の周りを脅かすか脅かさないかになってたんですね。彼も、完全な悪とも完全な正義とも言えない存在です。読んでる人の中には「なんでこの執筆者はこんなに気分の悪くなる物語を提示するんだろう」って思った人も居るかもしれません。

グリム・ノエルと言う一人の人間にとっては、リッドやベロニカ達は自分の家族を殺して、家に火を放った悪い奴なんですよ。そして、グリムは死に際までその悪人と闘ったわけです。

ですが、グリム・ノエルは能力を使う事によって知能が著しく劣化すると言う特徴を持っていたので、最終的には悲惨な状態で「器」を破壊されると言う事になりました。

そんな顛末を覚えていたら、折角理性を持たせた「グリム」が発狂してしまう事になるので、術師は「グリム」から、大部分の生前の記憶を封印したわけです。

そしてその術師、エスタの存在ですが、彼女は自分が生まれる前から、いずれ起こる事件に備えて選び出された人員で、ユーリア大陸の大部分で起こる流行病に縁のないアムリル大陸で育ちます。

アムリル大陸で社会的地位と財産を築き、足が弱くなり始めた齢60歳の頃に、ある町で一人暮らしを始めます。そしてその7年後から、「エスタ」は術師として生きて行くことになります。

こう言う風に、前後関係が分かってくると、訳が分からないと思われていたと思われる「Round cycle」の後半も、少しはマシな気分で読めるんじゃないでしょうか。