魚の骨が喉に刺さる時の言葉
桜に焦がれる思いはわずかに夢見心地の
乾いた空が喉を嗄らす風が吹きすさぶ
菜の花は刈り取られて水の入った花瓶に
野の春を歌わぬ鳥達は何を描いているのだろう
鬼灯のランプに鬼火を宿した細かな魂は
眠る猫のようなぬくもりを手の平に覆って
岩石と水の貼り付けられたフォトグラフィ
野に散る淡い菫の眼は儚くて
毒を食らい冷たくなって人の形を忘れる
睨んだ小鬼は天命を受け息も絶え絶え
裁きを下すのは雷の神の矢に
逆さ合わせの鏡は脳内にある
流転する時間と進化と退化の対価
帳の外に彷徨う雪娘
奇妙な祈りを呟くように
野の春を歌い消滅して行くまで
此の手の中にある一片の灯
時を伴う薬はひどく曖昧だ
罰を与えるのは「正義」だろうか