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時々徒然

記録係として思う世界

毎月〆切に追い立てられるように、とにかく突っ走って書いてきた小説が、物語の節目を迎えた。

最終話にふさわしい物語が書けたかどうかは分からない。しかし、彼等が「救いある世界」へ向かって行けたことを願う。

生き残った者達は、相変わらずドタバタを起こしながら、生き急いで行くだろう。

最初にあの物語、「Ash eater」を思いついたのは、夢の中だった。睡眠中に「Ash eater」の元になる話を思いつき、それをメモして物語に仕上げた。

しばらくは、他の作品同様「1作のみ」のつもりでいた。彼等が「動き出す」までは。

彼等は、常に僕の思考の先を行った。文章に綴った物語が、どのように着地するか分からない、それでも物語は進んで行く。

僕は冷や冷やしながら物語を書き進める、しかし、ちゃんと結末は用意されていて、その間につづった物語が全て「丸く収まる」時が来る。

そこで執筆を止める。その繰り返しで、彼等の世界は「世界地図」が必要になるまでになった。

「ディア・ナイト・ウィンダーグ。ウィンダーグ家、パルムロン街、ディーノドリン市、デュルエーナ」と、手紙を書いてみたくなる。

きっと僕のファンレターは届かないだろう。だって、彼等は常に大忙しで、彼等の世界を「追っている」者なんかの、時代遅れな文章を読んでる暇が無いだろうから。

リッド・エンペストリーが、「この屋敷に開かない扉がある」と言い出した時、僕だって「ぎょっとした」のだ。しかし、話はちゃんと着地した。

彼等はいつも僕の綴る先の世界を生きている。つまり僕は、創作者ではない。記録係だ。

記録を休んでいる間も、彼等は常に「未来」へ向かって、ドタバタを続ける。

本編の「記録」の最後に、異国の少女、パトリシアが誰かに出逢った。それは、きっと幸運なことだ。彼女の未来を切り開くための、重要な要素なのだ。

「終りかけていた未来を切り開く力」。それを、彼等は僕に教えてくれる。

悲劇が美しいなんて、誰が言い出しだ冗談だ。

僕は、「彼等」に「出逢い」、「彼等」の記録係としての仕事を一段落させられたことに満足している。

「奇跡なんて、待っててもおこりゃしないんだ」そう言っていた、鬼火のエッジの言葉はひどく感慨深い。

このシリーズでは、強く聡明な女性達が活躍する一方、ほとんど何の力も持たず、逃げ回るしかない少女達も登場する。

ネシスとネイクの事だ。彼女達は、自分達を襲った大災害に対して、ほとんどなんの抵抗力もない。だが、考えることは諦めなかった。

そして、自分達の救い人が現れた時、正確に「災いの元」を教えることが出来た。それが無かったら、あの村の騒動は治まらなかっただろう。

考えることを止めてはならない。それは、生きている間、常に付きまとう「仕事」だ。