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時々徒然

祭の話

日本人の考え方についての話を前記事で書いたので、日本人がなんで外国の祭文化をすぐに取り入れるかについても書いておきたい。

豊作や豊穣を祝う祭と言うのは、どの国でも大体あると思う。夏至を祝う祭、冬至を祝う祭、春(芽吹き)を祝う祭、夏(厄払い)を祝う祭、秋(収穫)を祝う祭、冬(寒さの終わり)を祝う祭、等。

日本人はとにかく祭が好きだ。細工と打ち上げ方にこだわった花火の数々を、1kmにもわたる河の上で打ち上げたり、大きな凧を作って、どのチームが一番立派にその凧を空に上げられるかを競ったり、

小さな屋台では、タコ焼き、たい焼き、凹版焼、と言った、所謂ワッフルの類を焼いて温かいうちに販売したり、飴を絡ませた小さなリンゴを串に刺して売ったり、

浅い水槽を置いている屋台では、紙で出来た丸い小さな団扇みたいな道具で金魚をすくったり、やっぱり紙でできた釣り具で水の入った風船をすくいあげる遊びをする。

射的、と呼ばれる、棚に並べられた商品を、コルクの線を飛ばすエアガンみたいなもので撃って、棚から落とせたらその商品をもらえると言うゲームもある。

そう言う屋台は、祭の会場の近くにある時もあれば、神社の周りにある時もある。

地方の神様を祀る「祭」の時は、みんな、神社にお賽銭を投げて「お参り」をして、それからそう言う屋台で、お菓子を食べたり遊びを楽しむ。

「威厳」と言うものを持った神様も居るが、大体の地方の神社に居る神様は、そう言う人間達の憩いに対して友好的なようで、「他人に対して失礼に当たらない事」くらいなら許してくれる。

珍しい事に、人間を祀った神社もある。明治神宮がそうだ。明治天皇御夫婦を祀った神社で、大きな赤い鳥居と巨大な木々の並ぶ鎮守の森、そして生憎、街の中にあるので、砂利を巻き上げるビル風が特徴だ。

明治を生き抜いたお二人は、没後、神様として祀られるようになった。もちろん、神様だからと言って何でもかんでも叶えてくれるわけじゃないけどね。

そんな風に、日本の「神様」と言うものは、実に日本人と言う人間達の心をよく知っていて、利他的精神まで持ち合わせている、とても友好的な存在なのだ。

だけど、そんな「神様」も、怒る時がある。大嵐や水害起こして田畑をめちゃくちゃにしたり、地震を起こして建物を壊したりしてしまう。

疫病を流行らせたり、日照りで農作物を枯らしてしまう。

現代では、そう言う「災害」に対応する手段があるけど、まだ知識を持たなかった頃の人間にしてみたら、何故、自然と言う恵みをくれる神様が突然そんな側面を見せるのかは分からなかったんだ。

だから、「災害」を、神様や、祀られなくなった古い神である妖(あやかし)の「怒り」「祟り」「厄」であると考えた。

日本で夏に祭が多いのは、日が長くて夜が心地好いと言う他に、神様を祀ることで、疫病や災害を退ける「厄払い」の意味があるんだ。

そんなわけで、日本人は祭が大好きである。子供の頃は「厄払い」の意味なんて知らなくても、屋台から流れてくる美味しそうな香りと、楽しそうな人々の声を聞くだけでワクワクしたものだ。

古い祭が受け継がれる他、プレゼントやメッセージカードを送り合い、街や家を飾り付け、御馳走を用意する日としてクリスマスが受け入れられた。

日本式クリスマスは、本来のクリスマスと違って、あんまり天使や救世主のことは語られない。唯、外国のワクワクする楽しい「祭」として認識されている。

それからバレンタインデー。日本では、女の子が男の子に告白できる日、とされている。昔の、恋の話は男が女に申し込むもの、だとされていた時代には、画期的な発想だったんだろう。

それから、近年は新しい「祭」として、ハロウィンが取り入れられた。みんなでコワーイ仮装をして、集まってはしゃぐ「祭」だと思われている。

ハロウィンが取り入れられた背景には、「クリスマス」や「バレンタイン」が、家族同士、恋人同士のイベントと言う意味合いで取られてしまったことから、

もっとみんなで「唯祭を祝いたい」って言う気分を満足させられるイベントとして流行している。

あまりに仮装行列が加熱しすぎて、暴動が起きる時もあるけどね。

穏やかなハロウィンとしては、巨大なパンプキンをカボチャランタンにして並べる商店街がある町もある。

祭は厄払い、祭で新しい「厄」を生むことなかれ!