LuNa RhyThm official web site

時々徒然

花屋さんで見つけた

ほんの半月くらい前。薔薇の見頃の事です。

花屋さんの植木鉢に、薄い菫色の薔薇があったんですよ。今まで「青い薔薇は作れない」とか「作れたとして紫の薔薇」って聞いてて、僕は深い紫の、俗称「黒薔薇」を思い浮かべてたんですね。

だけど、清々しいくらいに美しい、灰色がかった淡い菫色の薔薇を見つけて、「へー」ってなったんですよ。

単純にその薔薇が綺麗だって言うのもあるんですけど、技術が進歩したのかなぁとか、そうか、お前は青い花に一歩近づいたのかとか、なんかよく分からんけどしみじみとした気分になった。

青い薔薇が作れない理由は、単純に、薔薇の花の色素が青く変色できる色素ではないからなんですけど、昔から西洋の人は「青い薔薇を作りたい」って言うことに情熱を燃やしてたんですよ。

一般人が青い薔薇を作るには、白い薔薇に青いインクを溶かした水を吸わせて、白い薔薇を水色っぽく見せる方法があります。

それを今思い出して、もしかして、あの菫色の薔薇も、インク水を吸わせただけの偽物では…って言う、僕の世を疑う気持ちが芽生えてしまいました。

花屋さんが「見栄えが良いから」と言う理由で、インク水を吸わせた白薔薇を飾っていただけかも知れないけど、技術は進歩していると信じたい。

僕個人としては、薔薇が新しい可能性を見出したのだと夢を見ておこう。こう言う夢は見ても誰にも害はないと思うんだ。僕がその菫色の薔薇を買ったわけじゃないし。

もし、菫色の薔薇が美しいあまりに購入してしまって、その時、お店の人に「お水にはインクを混ぜて下さい」って言われたら、僕の淡い夢が一つ消えるだけです。

そうか、お前はインク水を飲まされてそんな色をしているだけの、不憫な白薔薇だったんだな。いいよいいよ、僕のお家に来なさい。インク水に耐えられる強い花として、僕のお家を彩っておくれ。

とか、思いながら帰り道を歩いたでしょう。

だけど、僕は「菫色の薔薇を作れるくらい品種交配と改良の技術と言うものが上がってきている」って言う夢を今のところは見て置く。

単純に、黒薔薇に白薔薇をかけ合わせれば、菫色の薔薇も作れなくはないと思うし。インク水で世話をすると言う詐欺をしなくても良いし。

通り過ぎる時に見つけただけの菫色の薔薇の花でしたが、美しいものを見たと言う満足感はあります。

花屋さんに美しい植物があると言うのは、それだけで良い事なのだ。