ベルガモットの香り

アールグレイをストレートで飲むなんて信じられない! と言う意見を、ずっと前に何処かで聞いた覚えがある。それを聞いて俺は思ったんだ「何故?」と。
その人は、たぶんアールグレイの「馥郁たるベルガモット(オレンジっぽい匂い)の香り」が苦手で、どうしてもミルクを入れないと飲めなかったんだろう。
「ミルクを入れたアールグレイは美味しい」と思って、「アールグレイにミルクを入れないなんて、なんて美味しくない飲み方をしているんだ」と思ったのだろうとは分かる。だが、それは主観だ。
僕としては、アールグレイの程よい渋みと、苦みのあるオレンジの香りがとても大好きなのである。それをミルクで薄めてしまうなんてもったいない。
ジャペァンにも「茶道」と言う、お茶の楽しみ方があるが、敢えてルールを設けて「わびさび」を感じるためのルールなわけで。
普段の、「ちょっと抹茶が飲みたいなぁ」って時に、わざわざ掛け軸は用意せんだろう? 侘びた茶碗とか、用意せんだろう?
現代の気軽な抹茶の飲み方と言うと、サラッと溶けるタイプの抹茶をカップに入れて、ケトルからお湯を注いで溶かして飲むと思う。これだって、お茶を楽しむ事にはなる。
日常で、紅茶なり緑茶なり抹茶なりを楽しむなら、その茶を、自分が一番美味いと思う方法で飲めれば、それが正解なのだと。
アールグレイにミルクを入れないと飲めなかった人の意見も、「反対」はしない。その人にとって、アールグレイはミルクを入れると丁度良かったのだから。
だけど、何処かから中途半端に規律を聞いてしまって、「そう言う風にしないと『正式』じゃないんだ」とか、「本場っぽくないんだ」とか思ってしまったりするのは、非常に残念である。
日本生れ日本育ちで、紅茶の作法なんて知らんジャペァニーズが紅茶を「っぽく」飲んでも、それは「なんかイギリスっぽい風にしてみたけどどうかな」にしかならん。
そんなんだったら、規律なんて持ち込まないで自由に楽しめば良いじゃないか。と、我は思うのだ。
何より、ジャペァンのカフェとかで出してくれる、「ロイヤルミルクティー」は、ミルクを入れ過ぎであると言う英国人の指摘もある。
俺が「聞きかじった所」によれば、ミルクティーのミルクは紅茶のキャラメル色が残るくらい「ちょっと」しか入れなくても良いらしい。
だけど、個人的には、ジャペァンのカフェの、「ミルクたっぷり紅茶」は好きな方である。それこそ、それを「うめい」と思えるならそれで良いのだ。
だからこそ、俺はアールグレイをストレートで飲む。俺の味覚としては、ストレートのアールグレイはひたすら美味い。スパイシーな香りに、地球を一周して帰って来た茶葉の思いを感じる。勝手に。